こんばんは。
ショップマネージャーのItouです。
東京はまだ昼間は半袖で過ごせますが
夜はジャケットを羽織る人が増えてきました。
季節の変わり目なので体調にはお気をつけください。
【 山内 / Yamauchi 】より第二弾の入荷が御座いました。
今回は【 山内 / Yamauchi 】のものづくりに対する
精神を一番感じやすいアイテムが入荷しました。
それは3wayのドッキングトレンチコート。
ブランドの定番コートで
素材や加工を変えてリリースされています。
今回はこちらのコートひとつに絞ってご紹介させて頂きますね。
かなり長いのでご覚悟を。笑
このシーズンに【 山内 / Yamauchi 】は
初めてパリへの展示会に出展しました。
そしていつも以上にこのコートには
気合が入っているそうです。
名前の通りこのコートは2着がドッキングされ
3wayで着ていただくことが可能です。
山内では、中のものをライナーと呼んでいますが
完全にアウターです。笑
つまりこちらは2着分のアウターを使用している
と考えて頂いて問題ありません。
パッと見ただけで、普通ではない特別な雰囲気が立ち込めています。
大外の素材は遠州産の超高密度シールドコットンクロス を使用。
耐水生地として長年自衛隊などに
提供されていた超高密度コットン素材です。
極限の打ち込み本数で水に浸かると繊維が膨張し
水を通しにくくする防水布。
通年アウターにとても重宝する厚み、
適度な張り感、自立するシワ感、
コットンとは思えない化繊タッチのテキスタイルは
とても仕立て映えする素材です。
画像を見ていただくとわかりますが
かなりの高密度です。
高密度あるが故の独特の張り、コシがあり
よりコートの存在感をより一層引き立てています。
染色は日本の伝統工芸である奄美大島の泥染めによるもの。
泥染めは奄美大島に自生するテーチ木をチップ状にして、2日間煮出し、
醗酵させて出来るテーチ木染料を使用する染色方法。
その染料に何度も浸すことで染め上げた茶褐色の生地を、
奄美の泥の中で同じく何度も染め上げます。
テーチ木染料のタンニンと泥の鉄分が反応し黒褐色、
濃茶となり生地に固着します。
最初は少し張り感のある仕上がりですが、
着用するにつれ張りも落ち着き、
経年により色変化も楽しめます。
ですが思い返してみてください。
この生地は超高密度コットン素材のため
極限の打ち込み本数で水に浸かると繊維が膨張し
水を通しにくくする防水布だということを。
水を通しにくいということは
つまり非常に染まりにくい素材でもあるということ。。。
泥染めはただでさえ、何度も染め重労働な仕事ですが
この素材には、より何度も何度も染色を重ね
限界濃度(染まる限界)まで染めることによって。
このように深い色合いになります。
このコートは製品染めではなく生地の段階で
泥染めを行なっています。
生地の状態で染色すると、場所によってムラができ
また反物違いでも濃さの差が出てしまうことがります。
そのため、生地を裁断して縫製すると
パーツによって濃淡の違いがはっきりと出てしまうことがあります。
しかし、このコートではパーツごとの色のトーンの違いや
ムラが全くなく
全てのパーツが均一に仕上がっているんです。
一体どれだけ長く染め込んだのか見当がつきません。。。
先ほども言ったように限界濃度(染められる限界)まで染めることにより
トーンの違いが出ないようにしているんです。
凄すぎて言葉が出ません。。。
泥染めをここまできわめているのは
そうそうお目に掛かれません。
【 山内 / Yamauchi 】と言えば
縫製もその魅力の一つ。
このコートにも山内ならではの仕立てがたくさん詰まっています。
その一つが尋常ではない細かいステッチ。
見てください、この細かいステッチを。
運針が細かいだけではなく糸調子も完璧。
さらにブレのない綺麗なステッチワーク。
ステッチだけでも息を呑む美しさ。
ブランド自身も公言しているように
縫製もデザインの一つだと言うことがよくわかりますね。
こちらは前端の部分。
端まで限界ギリギリのコバステッチ。
こちらは見頃と袖のつなぎ目。
ステッチは端側の方が縫いやすかったりするのですが
これは生地のど真ん中を縫っています。
生地の嵩張りがあるので、実はこう言うところの方が
ミシンで縫うには大変だったりします。
もうひとつ注目なのがミシンの
押さえ金の後が全くついていないんです。
ミシンは生地を挟む
押さえ金、生地を前に送る送り歯と言うパーツがあります。
生地を挟むので、その跡が残る場合があるので
抑える圧力を微調整する必要があります。
素材によっては完璧に跡が残らないようにするのは
難しいく、さらに泥染のようなものは白っぽく
跡が残るのですが、これには全くそれはありません。
おそらくかなりの微調整をして縫ったのでしょう。
熟練のものづくりに長けた縫製者ならではです。
さらに山内を代表するのが縫いの始末方法。
縫製は返し縫いと言って、糸が解けないよう
最後に重ねて縫うのですが、見た目があまり美しくはありません。
山内もこれを良しとせず、返し縫いをせずに
最後に裏側から糸を引っ張り、
ほつれないように手で結んで留めつける糸抜きと言う手法をとっています。
返し縫いは一瞬でできる作業なのですが
糸抜きはその都度、手で結ばなければいけないので
手間暇がかかる作業です。
よほどの仕立てにこだわったメゾンブランド
出なければ通常は行いません。
と言うより普通の縫製工場ではやってくれません。。。
画像を見ると糸抜きをすることにより
とても綺麗な美しい仕上がりとなります。
縫製者泣かせのかなり鬼畜な仕様です。笑
1人の縫製者が1着の服を縫い上げる方法だからこそ
できる作り方で、山内の服に対する姿勢が
よく表れています。
当然ながらポケットもすごいんです。
こちらはフラップポケットなのですが
一見するとボタンがないタイプに見えます。
しかしポケットを開けるとボタンが。
フラップの裏にはもう一枚のフラップ(と言っていいかわかりませんが)
がついた仕様になっています。
もう作りが凝っているとか言うレベルじゃないです。笑
ボタンをつける場合はフラップにホールを開けて貫通させますが
山内ではそうはしません。
おそらくこのコートのポケットにはボタンを出したくない
と言う美意識からこのような仕様にしたんだと思います。
恐ろしいですね。。。
もちろん普通のフラップポケットよりも
すごい手間がかかります。
もうすごいを通り越して狂気の沙汰です。笑
前縦の仕立ても比翼にジップ、ボタンと
めんどくさいことこの上ない作りに。
縫う人は本当に大変だと思います。。。
コートを開くとドッキングするために
こちらも比翼とボタンが。
この作り、本当によく考えられていて
閉じた時にライナーのジャケットも
ボタンが全く見えないようになっています。
こちらはコートの裏側。
ウエストには絞れるドローコードが内蔵されています。
さらに左右にはジップポケット。
ただのポケットではなく
裏側なのにわざわざジップ仕様に
しているのもさすがです。
裏側の縫製ももちろん手を抜いていません。
非常に綺麗でキセアイロンもしっかりと入っています。
裾のステッチも非常に美しい。
縫う範囲が半端ではありません。
あと、泥染はミシンで縫っていくと針に泥が詰まってくるらしく
その度にダメになり、針を変えなければならないそうです。
スピードが重要な仕事においてまさに致命的なタイムロス。。。
縫製者を困らせてしまうキワモノなのです。
続いてはライナー。
ライナーというより1着でメインとしても使える
しっかりとしたアウターです。笑
素材は尾州産のSuper 120’s ノーミュールシングウールフラノを使用。
組織と生地整理で感触を高めた織物は、
カシミアを彷彿とさせる肌触りです。
またウールは汚れが糸の内部まで浸透することはなく、
表面に付着するだけですので、
1分程度の水通しで汚れが落ちることもあり、
常に着用するアイテムにとても向いている素材です。
スーパー120’sの糸をあえて太く引き、
膨らみと温かみをを重視したテキスタイルは
山内の冬の定番生地の一つです。
お気づきの方もいるかもしれませんが
これはウールに泥染めをしてしまっているんです。
これが本当にすごいんです。
泥染めというと普通はコットンやリネンが主です。
なぜならウールは染まりにくく、
揉み込むと風合いが変わってしまうから。
多分ほぼないんじゃないでしょうか。
でもこのウールは驚くほど深く染まっています。
理由は元の素材がそもそも良いから。
山内が研究した結果、良い素材ほどしっかりと染まってくれる。
なるほど、見て納得です。
説明しませんと気づかないことですが
よく見てください。
泥染めされたウールの服がほとんどないことに。
泥染めされたウール、言葉にするとなんてことはありませんが
実際にはとんでもないものなんです。
裏側もすごいんです。
表とは違ってボア仕様。
さらにポケットはポケットの中でも高難度の
両玉縁ポケット。
おそらく素材が重厚なのでそれに負けないように
両玉縁にわざわざしている気がしますね。
フードはいくつかのパネルで構成されここにも
細かいステッチが入っています。
さらに首回りにはテーラードジャケットの襟腰に
あるようなステッチが入っています。
おそらくフードの返りの安定、型崩れ防止、立体感を
出すために入れられています。
フードデザインでここにステッチが入っているのは
初めて見た気がします。
カジュアルなフードですが
ここでも手を抜かないのが山内です。
相変わらずのステッチの綺麗さ。
そしてこのコートには負担がかかりやすい
箇所に必ず閂止めがされています。
よく見ると至る所に入っているんです。
これならだいぶ長く着れそうですね。
通称、山内リブと言われるこのリブ。
これもかなり変態な作りになっていまして
ベースのリブ素材に、メイン素材と相性の良い
素材を重ね、テンションをかけながらステッチを入れています。
つまり、自作のリブということです。
なかなかの変態ぶり。。。
このリブを作るだけでも相当な時間がかかります。
リブにここまでこだわっているのは世界で
山内ぐらいなんじゃないでしょうか。笑
さて今までご覧位なっていればわかると思いますが
このコートは構成するパーツ数がかなり膨大になります。
いくつあるのか数えてみましたが50を超えた
あたりから数えるのをやめました。。。
公式ではおおよそ100パーツぐらいから
構成されているとのことです。
複雑な作りのコートでも50パーツあれば多い方ですが
それを遥かに凌駕していますね。。。
変態すぎますね。笑
そんな変態なコートを製作したのが
熟練の縫製者である成清 功一氏。
(山内の服には製作した方のタグが全てについています)
実は、この方は弊社が高級服の工場をしていたときの
スタッフでもあります。
私のほぼ同期の方です。(縫製歴と技術は全く上の方です)
縫製一筋の方なので
クオリティに関してはかなり凄いと
自信を持って言えます。
yc13-262-doro. Maximum Concentration Mud-Dyed 3-Way Docking Military Coat. Doro(Mud). 山内(Yamauchi).
https://gullam.jp/shopping/268186.html
こちらのコート、金額は¥594,000(税込)。
金額だけで見るともちろん高額です。
ですが今までご紹介した素材、染色、仕立てを
見ていただければ納得のいく金額かと思います。
コート1着というよりアウター2着でもありますので。
製作に数も1着仕上げるだけで数日かかるとのこと。
普通の量産工場では分業制なので
1日に何着も作ります。
そんな中、熟練の縫製技術が数日かかるので
いかに大変かということがわかるかと思います。
山内による設計、そしてそれを具現化する職人に
敬意を感じるまさに魂を揺さぶるコートです。
感じ方は人ぞれぞれですが
このコートは本当にすごい感動できるものとなっています。
実際にご覧いただいて山内の凄さを感じていただければと思います。
かなり長くなってしまいましたね。
毎回このテンションで山内を紹介すると
身が持たなそうなので次回はもう少し
緩めにしようと思います。笑
それでは失礼します。










































